ブランディングの科学 誰も知らないマーケティングの法則11

マーケティング翻訳書

マーケティング翻訳書新刊

 翻訳書「ブランディングの科学ー誰も知らないマーケティングの法則11」を朝日新聞出版より出版しました。原著はHow Brands Grow (バイロン・シャープ著)です。
 世のマーケターにとって、ブランディングはマーケティングの中でも特に悩ましい問題です。例えば飲料業界では「千三つ(せんみつ)」という言葉があります。1000のブランドをロンチしても3つしか生き残れないという意味です。非常に生き残りの厳しい世界です。つい、存在しないと分かってはいても、ブランディングの「特効薬」や「秘策」を求めてしまいます。
 本書は、そのような悩めるマーケターのために超お勧めの書籍です。どうすればブランディングに成功するのか分からない、いくら本を読みあさっても手掛かりがつかめない、どれだけ成功事例を研究しても応用できない、そんな悩みを抱えるマーケターのために書かれているのではないかと思います。

 しかし、残念ながらブランディングに「特効薬」や「秘策」などの『打ち出の小槌』はありません著者のバイロンは、現実をよく見よ、と言っています。『打ち出の小槌』を探している人に、ガツンとショックを与え、「事実の読み解き方」を教授しくれます。「11のマーケティングの法則」とは、具体的には以下のような内容です。

 

1. ダブルジョパディの法
2. リテンションダブルジョパディの法則
3. パレートの法則(60/20)
4. 購買行動適正化の法則
5. 自然独占の法則
6. 顧客基盤が類似する
7. ブランドに対する態度と思いが行動的ロイヤルティに反映される
8. ブランド使用体験が消費者の態度に影響を与える
9. プロトタイプの法則
10. 購買重複の法則
11. NBDディリクレ

 

 バイロンは、「ブランディング神話」に惑わされるな、「マーケティングのバズワード」に振り回されるなと言いたいのでしょう。ブランディングに何か特効薬があると幻想を抱いている人は、目を覚ますためにもこの本は特にお勧めの本です。

 

 さて、本書で紹介されているバイロン理論のいくつかを解説してみたいと思います。

 

ダブルジョパディの法則:
 ダブルジョパディ (Double Jeopardy) の法則はバイロン理論を理解するうえで非常に重要です。文字どおりの意味は「二重の危険」です。本書では、顧客基盤が小さければ、すなわちマーケットシェアが小さければ、様々な弊害をもたらす、という意味合いで使われています。顧客基盤の小さいブランドは結果的に売上も小さく、購買頻度も低くなる、というわけです。従って、ブランドの成長のためには、顧客基盤を拡大することが何よりも重要であると説かれています。極めてあたりまえの理屈ですが、疎かにしていませんかとバイロンは問いかけています。

 つまり、「マーケットシェアの大きなブランドは、小さなブランドより多くのユーザーベースを保有し、かつロイヤリティも高い。シェアの小さなブランドは、大きなブランドより少ないユーザーベースしかなく、ロイヤリティも低い。」のです。例えばブランドAが32%のユーザーを1年間で獲得し、そのユーザーの平均年間個数は3個で、14%の市場シェアを取っているとします。計算上ブランドBが、ユーザーをブランドAの半分の16%しか獲得できなくても、ユーザー一人当たりの購入個数を倍の6個にすれば、計算上はブランドAと同じ売り上げ(シェア)を獲得できるはずです。
 しかしながら、いかなる商品カテゴリー(一般消費財から耐久消費財まで)、国・地域、商品がサービス(銀行、保険)に関わらず、このようなことは実際には起こりません。本書では様々なデータが提示され、売り上げの大きなブランドは、より多くのユーザーを獲得し、それとともにロイヤリティも獲得しているという法則を証明しています。この事実から、よくあるマーケティング手法のロイヤリティプログラム等は意味がなく、いかにユーザーを多く獲得すること(間口を広げること)が重要であることを示唆しています。

 

メンタルアベイラビリティフィジカルアベイラビリティ:
 では、ダブルジョパディに陥らないためにはどうすれば良いでしょうか?バイロンは2つの視点を持つべきであると教えてくれます。それがメンタルアベイラビリティ (Mental availability) とフィジカルアベイラビリティ(Physical availability)です。バイロンはこのメンタルアベイラビリティとフィジカルアベイラビリティを非常に重視しています。
 メンタルアベイラビリティが高いブランドとは、何か欲しいという欲求が生じたときに、消費者の心の中に真っ先に意識されるブランドのことです。例えば喉が渇いて冷たいものが飲みたいとき、真っ先に思い浮かぶブランドは何でしょうか。それがメンタルアベイラビリティの高いブランドです。
 フィジカルアベイラビリティが高いブランドとは、消費者があるブランドをいざ買いたいと思ったときに、そのブランドが買い求めやすい状態にあることです。もし製品を買いたいと思っても、近隣にその製品を扱っているショップがないとか、あっても棚にない・目立たない・気づかない場合、そのような状況を改善してブランドがいつも消費者の手の届くところに存在するようにしなければならない、とバイロンは説いています。

 

 ダブルジョパディの法則も、メンタルアベイラビリティフィジカルアベイラビリティも、まだ日本では定着していません。このような視点をブランディングのツールとして身につけることが非常に必要だと思います。

 

 本書で紹介されているバイロン理論は、コトラーやアーカー一辺倒のブランディングの現在の学識にまさに一石を投じるものです。その点で本書は非常に高く評価されるべき存在だと私は思います。問は様々な知見がそれぞれの角度からぶつかり合って進歩して行くものです。本書がきっかけとなって、ブランド構築の議論がこれまで以上に盛んになることを願っています。

 

 本書には続巻があります。これはバイロン理論の完結編です。とてもよく整理されています。質が高くむしろそちらを先に紹介したかったのですが、出版順の翻訳となりました。いつかご紹介できる機会があることを願っています。

ブランディングの科学(訳書)

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